(1)L.v.ベートーヴェン 自筆書簡(年代記載なし)

ベートヴェン自筆楽譜
ベートーヴェンの自筆書簡下書き(慶應大DMC研究センター撮影)

 ライプツィヒの出版社C.F.ペーテルスに宛てる書簡のための下書き。新作弦楽四重奏曲が用意され、360フロリンで引き取るならすぐに楽譜を送るとしている。年代の記載はないが、内容から1825年11月25日にペーテルスに宛てた書簡の下書きで、言及している弦楽四重奏曲は、第13番変ロ長調(作品130)を指すと思われる。
  ベートーヴェンは、この下書きの中で、ほかの四重奏曲も完成し、連作の最後の曲(第15番イ短調作品132を指すのであろう)を提案すべきか迷っている。また言い回しを考えるとともに、出来映えに対する自負心、自作への報酬が高額になっているとするアピールを織り込もうとしていた。
  360フロリンとしいているのは、1822年8月にペーテルスから歌曲、行進曲、ピアノのためのバガテルの作曲依頼を受け、前渡しで支払われた報酬額である。その後出版社を納得させる作品は送られず、四重奏曲をもって充当しようとした。結局その提案は拒まれ、ベートーヴェンは翌12月に返金した。結果として、ペーテルス社からの作品出版は、生涯を通じて一度も行われなかった。
  実際に送られた手紙は、作曲家の甥にあたるカールが書き、作曲家が署名した。ボンのベートーヴェン・ハウスに残されている。その、より簡潔で事務的な書簡に至る過程の作曲者の心中が、南葵音楽文庫に残る下書きから読み取れよう。

[2014年4月23日 16:50]

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