第153回東京芸術劇場 名曲シリーズ

2008年9月16日(火) 19:00開演

会場:東京芸術劇場

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ

◆シューマン/交響曲第2番
◆R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ (Stanislaw Skrowaczewski)

 音楽を放送したり、記録して伝えたりするようになると、演奏法や聴き方にまで大きな変化が生じるようになった。
 レコード録音の開始が、オーケストラの配置を変化させたのはよく知られる所だ。前列の弦楽器グループについて、戦前まではそれまで伝統的だった古典的な配置、つまり向かって左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンと、各声部を左右に分け演奏会場で聴衆が各旋律線の綾を明瞭に対比して聴けるように配置されていた。
 しかし、ステレオ録音の初期に、ストコフスキーがステレオの効果をより強調するために左側に高音部の固まり、右側に低音部の固まりを作るために、左に第1,第2ヴァイオリン、右側にチェロ、ヴィオラを配置。それからは旋律線の繊細なあや織りを楽しむというよりは、音楽のダイナミクスを強調して聴くようになり、演奏されるようにもなった。
 1970年代からのオーディオブームがまさにそれで、マーラーの大規模な交響曲を家の中で高級アンプやスピーカーと共に大音量で聴くことが多くなり、クラシック・ファンの音の好みも外声部を優先する趣向が見られた。つまり、声楽でいえばソプラノとバスの強調で、高音を輝かしく、低音を重厚に鳴らす音作りを多くのオーディオファンが求めた結果、刺激的な音塊の衝突が主になり、本来のコンサート音楽がもっていた多彩な響きとは異なる志向が強調される傾向があった。これがブルックナーの演奏ではさらに極端に低音が強調され音楽の姿が異様に変形しそうなほど、ぎりぎりのところで感動を体験する傾向も生まれていた。
 これがやがて、オーディオ機器の質の向上、CD化などと共に沈静化、本来の聴き方に回帰しつつあるのが、現代と言えるだろう。
 まさにスクロヴァチェフスキの演奏では外声部に対する内声部、声楽ならアルトとテノールのパートも十分に聴かせ、音楽が本来もつ均衡ある美しさを引き出してみせることにもなった。オーケストラの弦の中核を支えるヴィオラや、副旋律を奏でる第2ヴァイオリンの動き。木・金管楽器の主旋律との絡まり。その上に繊細な音の綾を克明に浮き上がらせる。
 外声部は内声部とのバランスの上に成り立つという美感を常に持つようにオーケストラを指導し、聴衆への響きの伝わり方にまで細心の注意を払っている。
 生演奏ならではのスクロヴァチェフスキの内声部表現を堪能してほしい。(Y.K.)

読響チケットセンター

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