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第475回定期演奏会

2008年10月20日(月) 19:00開演

会場:サントリーホール

指揮:下野 竜也
メゾ・ソプラノ: 重松みか
バリトン: 三原 剛
合唱: 新国立劇場合唱団

<下野プロデュース・ヒンデミット・プログラム II>
◆ヒンデミット/シンフォニア・セレーナ
◆ヒンデミット/前庭に最後のライラックが咲いたとき ~愛する人々へのレクイエム
 (英語上演)
 

下野 竜也 (Tatsuya Shimono)

 下野竜也の慧眼ぶりに感服した。
5月の《定期》で取り上げたコリリアーノの演奏は驚きの連続だった。作品は、あの有名なドイツの伝説「ハーメルンの笛吹き男」に触発されて書かれた〈ハーメルンの笛吹き幻想曲〉である。
聴衆の多くが初めて聴く曲だっただろう。
下野が委嘱新作の山根明季子作曲〈ヒトガタ〉の演奏と解説を終えてコンサートも終盤、最後の曲の演奏に入る直前だった。
 楽員たちに交じって舞台に現れた下野は、聴衆が拍手のタイミングを失って戸惑っているうちに、指揮台に上がり、会場が押し黙る中、おもむろに指揮を始めた。
 舞台の照明が落ち、譜面台の明かりと指揮者だけが見える暗闇の状態から音楽は始まった。
ただ、それは音楽といっても、ミュージカルの舞台でも見るように、曲想のさまざまな変化に合わせながら、ソロパートを担当する笛吹き役のフルート奏者・瀬尾和紀が、親しみやすいメロディーで聴衆の耳目を引き付ける。
現代音楽のイメージとは異なる、親密な曲想は、もしかするとちょっと難解なオペラを見るよりも遥かにわかりやい。音楽が、まるで役者が演技するように場面を生き生きと描き出し、演劇の舞台を見るような親しみを抱かせたのだ。
 筆者は音楽を学ぶ若い人たちを無料で招待する下野シートの客席で本番を聴かせてもらったが、そこの盛り上がりも格別だった。学生たちはソリストの瀬尾のいでたちにすっかり魅了され、「こういう格好で演奏するのもいいな」と語り合っていたし、手話でしきりに会話していた人たちのあわただしい手ぶりからも熱狂が伝わってきた。作品の形式は、つまるところフルート協奏曲なのだが、奏でられる音符の一つ一つが役を務めて演じているみたいな、楽しい響きの対話になっていた。
また、演奏中に足立区の中学、高校の吹奏楽部有志が客席側から壇上に登場したときの聴衆の驚きも面白かった。ことに指揮者・下野の表情がはっきり望める舞台後ろのP席からは、手に取るように聴衆と舞台との交流の醍醐味を観察することができた。
 よくぞこのような未知の名曲を、サントリーホールで堪能させてくれたものだ。
 聴衆の満足ぶりは、拍手がすべて語っていた。今日の定期のヒンデミット作品も、また下野の手がける企画だ。期待度は高い。(Y.K.)  
 

重松 みか [メゾ・ソプラノ] (Mika Shigematsu)

 人気のテノール、ラモン・バルガスと伊カルロ・フェリーチェ歌劇場で〈ウェルテル〉のシャルロット役を共演、米オペラ・コロラドでは巨匠ボニングの指揮で〈シンデレラ〉のタイトルロールを演唱した、かなり幅広い声域を持つメゾ・ソプラノ。
 大阪音大卒業後、ニューヨークに留学。
 サンフランシスコ歌劇場と契約。〈清教徒〉のエルヴィーラ役でデビューを果たした。ヨーロッパではリヨン国立歌劇場、ロンドン・ロイヤル・アルバートホールでは〈蝶々夫人〉のスズキ役、パリ・オペラ座にも登場している。(Y.K.)
  

三原 剛 [バリトン](Tsuyoshi Mihara)

 桂冠指揮者アルブレヒトの信任が厚く、「第九」をはじめとして主要な公演の声楽を一手に担当した。
 大阪芸大卒。五島記念文化財団奨学生としてドイツのケルンに留学、ベルリンとライプチヒでバッハのカンタータ演奏会に出演し絶賛された。その後リリング指揮の〈ヨハネ受難曲〉、ヴィンシャーマン指揮のヨハネ、マタイの両受難曲で決定的な評価を与えられた。
 2006年のザルツブルク音楽祭では、ヘンツェのオペラ〈午後の曳航〉(アルブレヒト指揮)の主役を務めている。(Y.K.)
  

新国立劇場合唱団 [合唱] (New National Theatre Chorus)

 2007年はこの合唱団が読響と共に、聴衆に忘れがたい贈り物をした。6月《定期》でのメシアン〈われらの主イエス・キリストの変容〉(若杉弘指揮)と年末「第九」(下野竜也指揮)での名唱だ。
 メシアンでは、細密画さながらの巧こう緻ちな表現で人間の声がここまで繊細に響くかと感心させる凄みをもって心を捉え、「第九」では現時点で望み得る限りの最高ともいえる絶唱で聴衆を酔わせた。
 わが国初の常設のオペラ劇場、新国立劇場の合唱団として1998年に設立された団員100名を超えるプロ合唱団である。(Y.K.)
  

※下野シート無料ご招待あり

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