みなとみらいホリデー名曲コンサート

2008年10月13日(月・祝) 14:00開演

会場:横浜みなとみらいホール

指揮:下野竜也
ヴァイオリン:ライナー・ホーネック

《R.ホーネック・モーツァルト協奏曲シリーズIII
◆ラヴェル/古風なメヌエット
◆モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第1番
◆モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」
◆ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲

下野 竜也 (Tatsuya Shimono)

 下野竜也の慧眼ぶりに感服した。
5月の《定期》で取り上げたコリリアーノの演奏は驚きの連続だった。作品は、あの有名なドイツの伝説「ハーメルンの笛吹き男」に触発されて書かれた〈ハーメルンの笛吹き幻想曲〉である。
聴衆の多くが初めて聴く曲だっただろう。
下野が委嘱新作の山根明季子作曲〈ヒトガタ〉の演奏と解説を終えてコンサートも終盤、最後の曲の演奏に入る直前だった。
 楽員たちに交じって舞台に現れた下野は、聴衆が拍手のタイミングを失って戸惑っているうちに、指揮台に上がり、会場が押し黙る中、おもむろに指揮を始めた。
 舞台の照明が落ち、譜面台の明かりと指揮者だけが見える暗闇の状態から音楽は始まった。
ただ、それは音楽といっても、ミュージカルの舞台でも見るように、曲想のさまざまな変化に合わせながら、ソロパートを担当する笛吹き役のフルート奏者・瀬尾和紀が、親しみやすいメロディーで聴衆の耳目を引き付ける。
現代音楽のイメージとは異なる、親密な曲想は、もしかするとちょっと難解なオペラを見るよりも遥かにわかりやい。音楽が、まるで役者が演技するように場面を生き生きと描き出し、演劇の舞台を見るような親しみを抱かせたのだ。
 筆者は音楽を学ぶ若い人たちを無料で招待する下野シートの客席で本番を聴かせてもらったが、そこの盛り上がりも格別だった。学生たちはソリストの瀬尾のいでたちにすっかり魅了され、「こういう格好で演奏するのもいいな」と語り合っていたし、手話でしきりに会話していた人たちのあわただしい手ぶりからも熱狂が伝わってきた。作品の形式は、つまるところフルート協奏曲なのだが、奏でられる音符の一つ一つが役を務めて演じているみたいな、楽しい響きの対話になっていた。
また、演奏中に足立区の中学、高校の吹奏楽部有志が客席側から壇上に登場したときの聴衆の驚きも面白かった。ことに指揮者・下野の表情がはっきり望める舞台後ろのP席からは、手に取るように聴衆と舞台との交流の醍醐味を観察することができた。
 よくぞこのような未知の名曲を、サントリーホールで堪能させてくれたものだ。
 聴衆の満足ぶりは、拍手がすべて語っていた。今日の定期のヒンデミット作品も、また下野の手がける企画だ。期待度は高い。(Y.K.)


ライナー・ホーネック  [ヴァイオリン] (Rainer Honeck)

 ホーネックは語った。
「コンサートマスターは常に挑戦する姿勢を忘れないことが必要だと思っています。これまでカラヤン、ベーム、バーンスタイン、クライバーといった大指揮者の下で演奏することができました。その中でまさにウィーンのオーケストラならではの音を作り上げることを学んだのです」 トップの一人が重責を担うウィーン・フィルは、まずモーツァルト演奏の権威が指揮をし続けたという伝統がある。さらにその上でオーケストラにおいて語り継がれ、守り続けられてきたモーツァルトを中心としたウィーン古典派の表現の真髄を宿した伝統が、今でも脈々と、確固とした形で蓄積されている。
 ホーネックによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲シリーズは、そうしたウィーン仕込みのモーツァルト・スタイルを体現するヴァイオリン奏者の表現に焦点を当てているのだ。
 今回はその白眉とも言うべき名曲〈トルコ風〉と第1番を演奏する。ホーネックは自信みなぎる、優雅にして伸びやかな演奏を披露してくれることだろう。
 1961年オーストリア生まれ。7歳でヴァイオリンを習いはじめ、8歳でウィーン音大に入学したという希有な天才である。
音大ではドレーヴォ、ベルツィンガー、アルフレート・シュタールに師事した。
 1977年ウィーンの青少年コンクール「ジュネス・ムジカーレ」で優勝。78年にはウィーン・フィルからカール・ベーム奨学金を得ている。
 81年、20歳でウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーン・フィルの第1ヴァイオリン奏者、84年ウィーン国立歌劇場管のコンサートマスター、92年に現在のウィーン・フィルのコンサートマスターに就任している。
ソリストとしてはブレゲンツ音楽祭やプロムス(英国)などの舞台に93年に登場し、日本やアメリカでも成功している。ウィーン・ゾリステン三重奏団、ウィーン弦楽ゾリステン、ウィーン・ヴィルトゥオーゼン、アンサンブル・ウィーンのメンバーでもある。 (Y.K.)

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