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10月27日の定期演奏会で「般若心經」の世界初演に立ち会うため、ドイツの作曲家ハンス・ツェンダー氏が来日しております。読響練習所でのカンブルラン指揮のリハーサルやバリトン歌手大久保光哉さんとのピアノ稽古などに立ち合い、初演へ向けて準備が整えられております。
 
IMG_4469.JPG24日には、東京大学駒場キャンパスにて「現代音楽と歴史 ハンス・ツェンダー、ポストモダンの音楽を語る」(共催:日本アルバン・ベルク協会など)と題した講演会が開催され、ツェンダー氏は、熱心な音楽ファンや学生などを前に、約2時間にわたってお話しされました(写真:左より通訳のヘルマン・ゴチェフスキ氏、ハンス・ツェンダー氏、聞き手の長木誠司氏)。
 
ヨーロッパの伝統や前衛について日本やアジアの思想と対比させながら持論を語ったほか、西洋の音楽史における自身の立場についてや、作曲家と指揮者の両方の活動についてなど、多岐にわたる話が展開されました。
 
今回の新作「般若心經」については、「テキストは何十年も前から知っており、3つのドイツ語訳で読んでいた。私にとって、仏教や禅を勉強している時に出会った重要なもの。今回、自分の答えを見つけるために使用した」と経緯を話されました。音楽については、「日本的なものではなく、ヨーロッパ的で、活発で劇的な音楽」と説明されました。
 
質疑応答では聴衆と意見を活発に交わし、「社会の中で、音楽に何ができるか具体的に答えるのは難しい。しかし、生きて行く力を与えてくれるものであり、それを思い出させるものだと思う」と音楽や芸術への哲学を語り、会場は大きな拍手に包まれ終了しました。

第519回定期演奏会

2012年10月27日〈土〉 サントリーホール

指揮=シルヴァン・カンブルラン
バリトン=大久保光哉
アルト=藤井美雪
合唱=ひろしまオペラルネッサンス合唱団(合唱指揮=もりてつや)
ツェンダー:「般若心経」(創立50周年記念 読響委嘱作品/世界初演)
細川 俊夫:「ヒロシマ・声なき声」-独奏者、朗読、合唱、テープ、オーケストラのための