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0707 - コピー.jpg明日7月8日(火)19時からサントリーホールで開催する「第650回定期演奏会」では、桂冠指揮者シルヴァン・カンブルランがツェンダーの「シューマン・ファンタジー」(日本初演)などを指揮します。前半には、ベルリンを拠点に活躍する気鋭ピアニストの北村朋幹が、細川俊夫「月夜の蓮 ―モーツァルトへのオマージュ―」で共演します。

リハーサル中のカンブルランに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました。

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___今回のプログラムの3曲の選曲について教えてください。

まずメインの曲を考えたとき、ツェンダーの「シューマン・ファンタジー」が頭に浮かびました。私は過去にこの曲を4つの楽団で指揮して手応えを感じたので、日本でも演奏しようと思いました。シューマンのピアノ曲を基にした作品ですが、現代の作曲家による過去の“クラシック音楽”ともいえます。1曲目に選んだのはメンデルスゾーンの序曲ですが、メンデルスゾーンとシューマンの二人の、友人であり音楽家同士としての深い関係性は広く知られているところですし、2曲目の細川さんは、生前のツェンダーの親しい友人の一人でした。今回のプログラムには、作曲家同士のつながりとお互いへの尊敬、愛情を感じ取ることができるでしょう。

___ツェンダー作品の聴きどころは?

原曲のシューマンのピアノ曲を知っている方もいらっしゃると思います。ツェンダーはシューマンのこの曲に対峙し、インスピレーションを得て知的に解釈し、大編成の管弦楽作品にしました。ツェンダー自身による「間奏曲」なども加えており、シューマンの音楽ではないのにどこかシューマンを感じさせる・・・そんな“シューマンの幻影”のような音楽です。全く新しい部分もあり、「なんだこれは!?」と驚くかもしれません(笑)。特筆すべきなのは、ツェンダーの素晴らしいオーケストレーションです。独特な色彩感を持っており、どの部分も本当にその楽器でないといけないようにできています。打楽器も多く出てきます。シューマンの音楽に新しい息を吹き込み、現代のコスチュームを着させたような作品です。


また、舞台ではないところ(客席や舞台裏)での演奏(バンダ)も特徴的です。バンダは19世紀後半のオペラでよく使われた手法で、もしシューマンが後の時代に生きていたら、この手法を気に入り、きっと取り入れていたことでしょう。ツェンダーは、バンダを用いることでシューマンの音楽と自分が加えた音楽を差別化しているように思います。舞台上ではシューマンの音楽、そしてバンダではシューマンを遠くから眺め、どこかで神秘的に表しています。

___細川作品の特徴はどんな部分ですか?

細川さんの作品は、欧州で数多く演奏しています。読響とは2012年に「ヒロシマ・声なき声」を演奏しました。その時もツェンダーの新作と組み合わせて演奏しました。「月夜の蓮」はピアノと管弦楽のための作品ですが、いわゆる「ピアノ協奏曲」の形式ではなく、ひとつの大きな流れを持つ作品です。モーツァルトの生誕250周年を記念して書かれ、最後の方には、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番の第2楽章の一部が現れます。細川さんの作品は繊細で詩的でとても聴きやすく、独特の官能性も持ち合わせています。個人的にもとても好きな曲です。

___最後にお客様にメッセージを

皆さんには演奏会にお越しいただき、私と私の大切な友人である読響に会いに来ていただけると嬉しく思います。そしてモーツァルト、メンデルスゾーン、シューマン、ツェンダー、細川という5人の作曲家に会ってほしいです。この演奏会は、人と人との結びつきが大きなテーマになっています。会場でお待ちしています。

 

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当日券は、18時から販売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も開演1時間前から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。

第650回定期演奏会

2025年7月 8日〈火〉 サントリーホール

指揮=シルヴァン・カンブルラン
ピアノ=北村朋幹

メンデルスゾーン:付随音楽「真夏の夜の夢」序曲
細川俊夫:月夜の蓮 ―モーツァルトへのオマージュ―
ツェンダー:シューマン・ファンタジー(日本初演)

7月16日(水)TOPPANホールで開催する《第48回読響アンサンブル・シリーズ/鈴木優人プロデュース》では、マーラー(シェーンベルク=リーン編曲)の「大地の歌」の各楽章間に、ウェーベルンの弦楽四重奏曲「5つの楽章」を挟む形で演奏します。なお、本公演には途中休憩がございません。あらかじめご了承ください。
https://yomikyo.or.jp/concert/2025/01/46-1.php#concert

Cendrillon_A4_h1.jpg11月15日(土)と16日(日)、日生劇場でのNISSAY OPERA 2025「サンドリヨン」(主催・企画・制作=公益財団法人 ニッセイ文化振興財団[日生劇場])に読響が出演します。

「サンドリヨン」は、シャルル・ペロー原作の「シンデレラ」を基に、フランスの作曲家ジュール・マスネが華やかなサウンドで描いた“夢と魔法”のファンタジー・オペラです。

指揮は、バルセロナのリセウ大歌劇場でヴァイグレのアシスタントも務め、オペラ作品で評価の高い柴田真郁。演出・振付を務めるのは広崎うらん。

オーディションで選出された日本を代表する歌手達と、合唱のC.ヴィレッジシンガーズ、ダンサーらによる充実したパフォーマンスにご期待ください。

チケット料金は、S席12,000円、A席10,000円、B席8,000円、学生3,000円。
6月27日(金)11時から一般発売します。現在、日生劇場[チケットWeb会員]の先行販売中。

キャストなどの詳細は、下記の日生劇場HPをご覧ください。
https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/cendrillon2025/

下期まとめ.png《定期演奏会》《名曲シリーズ》《土曜マチネーシリーズ》《日曜マチネーシリーズ》《横浜マチネーシリーズ》の2025年度下期会員券(25年10月~26年3月/連続券)を、6月21日(土)10時から一般発売します(読響会員優先発売中)。
 
常任指揮者ヴァイグレは、10月にショスタコーヴィチの交響曲第15番、チャイコフスキー「悲愴」を振り、1月にプフィッツナーの大作「ドイツ精神について」を日本初演します。指揮者/クリエイティヴ・パートナーの鈴木優人は、26年3月にJ.S.バッハの「マタイ受難曲」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」などを指揮。その他、元首席客演指揮者の山田和樹、フィンランドの名匠リントゥ、ザルツブルク音楽祭などで活躍するパスカル、英国を代表する俊英ガードナー、ドイツ在住の鬼才・上岡敏之、スイスの巨匠ヴェンツァーゴらが登場します。

ソリストには、世界的ピアニストのアンデルシェフスキ、ロシア出身の“ピアノの詩人”コレスニコフ、現代最高峰のヴァイオリニストのファウスト、現代作品にも力を注ぎ国際的に活躍している諏訪内晶子、昨年のエネスコ国際コンクールで優勝したチェロの新星・北村陽、ハープの可能性を広げる世界屈指の名手メストレ、伸びやかな澄んだ声で魅了する歌姫・森麻季、ミラノ・スカラ座など世界の檜舞台で歌うテノールのマクンゴら個性豊かな面々が登場します。

会員券には特典も多数ございます。会員券(シリーズ連続券)でチケットをまとめて購入すると、1回券よりもお安く聴けるほか、非売品の「読響特製CD」や「特製チケットフォルダー」のプレゼントに加え、ご来場になれない公演での「仮券制度」や「振り替え制度」もご用意しています。

お申込み・お問い合わせは、読響チケットセンター 0570-00-4390(10時~18時・年中無休)へ。会員券についての詳細は、「下期プログラムチラシ」「2025年度会員のご案内ページ」をご覧ください。

0610.jpg6月18日(水)「第649回定期演奏会チケットを、6月13日(金)10時から追加発売します。

この公演のチケットは完売となっておりましたが、関係者席などの最終調整を行い、約50枚(席種未定)を追加で販売します。お申し込みは、読響チケットセンター0570-00-4390(10時~18時) 及び 読響チケットWEBまで。お支払い方法はクレジットカード決済のみとさせていただきます。何卒ご了承ください。

ドイツの名匠ヴァイグレ(常任指揮者)が、得意とするR.シュトラウスの交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」などを指揮し、人気ピアニストの反田恭平がプロコフィエフのピアノ協奏曲第1番とR.シュトラウス「ブルレスケ」の2曲で共演します。ヴァイグレと反田による白熱の演奏にご期待ください。

第649回定期演奏会

2025年6月18日〈水〉 サントリーホール

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ
ピアノ=反田恭平

プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調 作品25「古典」
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 変ニ長調 作品10
R.シュトラウス:ブルレスケ ニ短調
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 作品28