1月8、9日の2013年最初の演奏会に向け、昨日5日からリハーサルが始まりました。指揮台に立つのは12月にもバイエルン州立歌劇場に客演するなど欧州で活躍を続け、読響とは22年振りに共演する大野和士氏。リハーサルでは、次々と細かな表情付けを各パートに要求し、大編成のオーケストラを見事なタクトで率いて行きます。
初日のリハーサルを終えた大野氏は、「オーケストラは、“お屠蘇気分”のな い、お正月明けとは思えない素晴らしい集中力で、緊張感のある有意義な音楽による会話ができました」と満足そうな表情。
今回演奏するR.シュトラウスの「アルプス交響曲」については、「アルプスの山へ登り始めるところから、森に迷ったりしながら、頂上に立ち、幻影を見て、日没の太陽を眺め、山を下っていきます。恐らく、R.シュトラウスは彼自身の人生になぞらえ、人間の生命について考え、作曲したのではないかと思います」と語ります。
その理由について、「作曲家が非常に辛かった時代に書かれた作品です。彼はイギリスの会社の株券を買っていたのですが、この時期、戦争のためにそれが紙くず同然になってしまいます。また、創作のパートナーであった作家のホフマンスタールが自ら志願して戦争へ協力してしまい、『芸術家として、ほかになすべきことがあるのでは』と思い悩み、芸術家の在り方について言及した哲学的な言葉を残してもいます。その意味で、作曲家が人間として悩み、成長する過程が、この作品に表れていると思うのです」と大野氏。
「このような大曲を、新年の最初の演奏会で読響と演奏でき、大変幸せなことだと感じています」と力強く意気込みを述べていただきました。
なお、チケットは9日のサントリーホール公演は完売しております。8日の東京芸術劇場公演は、S席~B席で約100枚の残券となっております。
明日7日は、読響チケットセンター 03-3562-1550(10時~18時)にて予約を受け付けております。どうぞ、お買い逃しなく。
第201回東京芸術劇場名曲シリーズ
2013年1月 8日〈火〉 東京芸術劇場
指揮=大野和士
ピアノ=小山実稚恵
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 二短調 作品30
R.シュトラウス:アルプス交響曲 作品64