News

9月24日(火)に神奈川県立音楽堂で《音楽堂で聴くブラームス》を指揮する、首席客演指揮者の下野竜也氏に、公演への思いを語っていただきました。
 
3下野竜也130806_5335HP.jpg__読響は32年ぶりの神奈川県立音楽堂出演になりますが、音楽堂に対してどんな印象をお持ちですか?
 
私もステージに立つのは20年ほど前の学生時代に、アマチュアのオーケストラを指揮して以来です。もちろん、以後も何度か演奏会を聴きに訪れたことはあります。すぐに思い浮かぶのは「木のホール」という印象。壁面がすべて木でできていて、自然でやわらなか響きが楽しめるホールですね。
 
__1000席というこじんまりとしたホールで、ブラームスの「交響曲1番」という大作に挑まれます。
 
ブラームスはクラシックの王道中の王道です。それだけに難しさもあって、実は避けてきた作品でもあるんです。音楽堂では、読響の迫力ある音がどの席にもまんべんなく響き渡って、音楽家の息遣いが身近に感じられるでしょう。大ホールとは違った一体感に浸ってもらえると思います。
 
1下野竜也130806_5358HP.jpg__尺八の藤原道山さんとの共演も話題を呼んでいます。
 
西洋の音楽であるクラシックは、一面、ビートとリズムに象徴されます。対して、日本の伝統楽器である尺八は独特の間(ま)が持ち味。いわば西洋の時間の中に、異種の東洋の時間が流れ込んでくる。二つの時間の流れを無理により合わせようとするのではなく、共存し融合していく面白さを出せれば、と考えています。藤原さんとは初共演になりますが、伝統を背負いながら、尺八の現代的な可能性を探って意欲的な活動をしておられる。とても楽しみですね。今回の「音に還る」は一柳慧先生の作品ですが、一柳先生とは東日本大震災でインスパイアされることがあり、昨年ピアノ協奏曲や交響曲5番でご一緒させていただきました。その一柳作品を一緒に演奏できることも喜びです。