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_DSC2852.jpg明後日7月1日(水)は、フランソワ=グザヴィエ・ロト氏の指揮で、ブーレーズ、ベルク、ハイドンという意欲的なプログラムを披露します。先週24日と25日はベルリオーズ「幻想交響曲」などを東京と大阪で演奏し、スコアから様々なアイデアを浮き彫りにし、聴衆と楽団員から大きな拍手を浴びたロト氏。7月1日の演奏会にも、大きな期待が寄せられています。リハーサルの合間に、ロト氏にプログラムの聴きどころを語っていただきました。
 
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■プログラム構成について
今回のプログラムのように、1つの演奏会で、異なる時代の作品を演奏することは、良いことです。このプログラムには特別な“展開”があり、時代が現代から古い時代に遡っていきます。曲の長さはブーレーズはとても短いですが、ベルクはそれより長く、ハイドンはさらに長いのも興味深いです。また、ベルクの音楽は、ハイドンの音楽をルーツとしており、ベルクの音楽は一方で既にブーレーズの音楽の一部を表現しています。
 
ベルクとブーレーズの二人は、オーケストレーションが非常に巧みで、大編成の曲を得意としている点で共通しています。ベルクは非常に叙情性を持つ作曲家であり、今回のブーレーズ「ノタシオン」にも繊細な感情が数多く見られることから、表現においても共通性を感じることができます。
 
■ハイドン「十字架のキリストの最後の7つの言葉」について
この作品は、交響曲とは全く違います。とても感情の込められた作品で、「キリストの磔刑」など祭壇画を想像させます。「死」という大きな悲しみを描いていますが、喜びや希望など前向きな感情も沸き起こってきます。人間が死をゆっくりと迎える中で、人生を大きな視点で振り返るようです。
 
音楽は、基本的にとてもゆっくり運ばれますが、遅いテンポの中で様々な異なる表現が描かれています。時には冷たさを感じる瞬間があり、一方で緩やかなテンポの中に微笑みを感じる部分もあります。しかし、この作品には一貫して「鼓動」が鳴り続けています。
 
私がこの作品を好きなのは、ハイドンがこの作品を様々な編成で作曲したという特徴もあります。この作品は、弦楽四重奏やオラトリオ版などにもなっています。そのため、管弦楽だけで書かれていますが、まるで楽器が「言葉」を話すような部分が出てきます。
 
DSCN3123 - コピー.JPG■時代の異なる作品での演奏方法ついて
私は一番重要だと思うのは、作曲当時にどのように弾いていたかと想像して演奏するです。ブーレーズもベルクもハイドンも。もちろん、これは非常に難しいことですが、とてもエキサイティングなことです。読響の各奏者はは、今回の2つのプログラムで、どの作品に対しても非常にオープンな気持ちで、積極的に取り組んでくれています。
 
■お客様へのメッセージ
このプログラムは、ある意味“普通ではない”ものです。でも、私たちの音を通して、驚くような旅に連れて行くことを約束します。
 
普段指揮していると、ある程度結果が想像できる演奏会と、想像できない演奏会があります。今回は、全く想像できません。ベルクとハイドンは、死者の魂を呼び起こす作品ですし、私もどんな体験になるか、非常にわくわくするプログラムです。お客様にも一緒にそれを体験していただければ嬉しいです。演奏後にゆっくり語らいましょう(笑)。
 
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チケットは、好評発売中です。1日(水)の12時まで、読響チケットセンター 0570-00-4390 にてご予約いただけます。当日券は、開演1時前の18時から発売します。学生券(2,000円)の整理券も、18時から配布します。皆様のご来場、お待ちしております。

第550回定期演奏会

2015年7月 1日〈水〉 サントリーホール

指揮=フランソワ=グザヴィエ・ロト
ヴァイオリン=郷古 廉

ブーレーズ:「ノタシオン」から第1、7、4、3、2番
ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
ハイドン:十字架上のキリストの最後の7つの言葉(管弦楽版)