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IMG_8920.JPG5月15日(日)「第88回みなとみらいホリデー名曲シリーズ」では、読響ソロ・コントラバス奏者の石川滋が、三ツ橋敬子の指揮でニーノ・ロータ「コントラバスと管弦楽のための協奏的ディヴェルティメント」の独奏を務めます。リハーサル初日を終えた石川氏に、聴きどころなどを語っていただきました。
 
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今回演奏するニーノ・ロータの作品は、ひとことで言えば「冗談音楽」ですね。それを理解しないと面白くないです。こんなにコミカルに書かれた作品は珍しいと思います。
 
この作品は、ロータが務めていたバーリ音楽院の同僚で有名なコントラバス奏者のフランコ・ペトラッキの委嘱で書いたものです。ロータは、音楽院で近くの部屋のペトラッキのところに日々通ってくる生徒の演奏を聴かされていて、その辺りに着想を得たようです。生徒たちの酷い演奏にうんざりしていたのでしょう。コントラバス奏者への「復讐」として、この作品を作曲したとも言われています。
 
   IMG_8916.JPGソロの冒頭も、わざと半音をずらした旋律で始まります。旋律の到達点が半音ずらしてあって、「音が正確に取れないコントラバス奏者」を揶揄しています。第1楽章全体の曲調も、能天気でコミカル。特に半音で茶化す感じが特徴で、例えば最後も変ロ長調(B♭dur)で終わると思わせておいて、唐突にイ長調(A-dur)の和音で終わります。「それまで半音を間違えていました」的な終わり方(笑)。
 
第2楽章は、コントラバスのスケール(音階)の練習のような部分が多く出てきます。あたかも大変そうな綱渡りのような音楽。そして、わざと「ソロが落ちた(出るのが遅れた)」ように書かれている部分もあります。また、16部音符が続く部分などは、クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲のパロディですし、ペトラッキの有名なエチュードのパロディも出てきます。最後もコントラバスだけ2拍ずれて先に終わり、オーケストラの最後の音と同時にガシャンと洗面器が上から落ちてくるような音楽です(笑)。
 
IMG_8907.JPG第3楽章は、「アリア」と題された唯一まじめな部分です。映画音楽「ゴッドファーザー」を想わせるような音楽。コントラバスの旋律が朗々と歌われます。
 
第4楽章も、冗談っぽいキャラクターですが、技巧的に相当難しい、いわば“超絶技巧”です。有名なコントラバス曲であるグリエール「タランテラ」のパロディも出てきます。音の跳躍も多く、こちらは必死ですが、お客様にはコミカルに見えるかも知れません。その辺りも、楽しんでいただければと思います。
 
リハーサルでは、指揮の三ツ橋さんと読響のメンバーの皆さんが、バランスやタイミングなど、非常にうまく合わせてくれいるので、本番が楽しみです。お客様に、コントラバスの魅力が伝えられると良いですね。
 
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チケットは、好評発売中です。お申し込みは、読響チケットセンター0570-00-4390まで。当日券は、13時から販売します。学生券(2,000円)の整理券も、13時から配布します。皆様のご来場、お待ちしております。
 

第88回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2016年5月15日〈日〉 横浜みなとみらいホール

指揮=三ツ橋 敬子
コントラバス=石川 滋(読響ソロ・コントラバス)

レスピーギ:バレエ音楽「風変わりな店」から
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
ニーノ・ロータ:コントラバスと管弦楽のための協奏的ディヴェルティメント
ラヴェル:ボレロ