News

20221216_0256 - コピー.jpg

3月9日(木)サントリーホールでの《第626回定期演奏会》では、1曲目に鈴木優人(指揮者/クリエイティヴ・パートナー)作曲の読響創立60周年記念委嘱作品を、鈴木優人自身の指揮で世界初演します。曲のタイトルは「THE SIXTY」に決定しました。

鈴木優人によるメッセージと曲目解説を公開しましたので、ご覧ください。なお、公演当日に配布するプログラム誌「月刊オーケストラ」の一部も以下からご覧いただけます。https://yomikyo.or.jp/pdf/book/orchestra202303.pdf

■鈴木優人からのメッセージ
今回、私が「指揮者/クリエイティヴ・パートナー」というポストを持つ読響のために〈THE SIXTY〉を作曲できたことを大変嬉しく思います。読響の創立60周年記念ということで、どんな作品にしようかと考え、「60」という数字にインスピレーションを得て作曲しました。「60」は、日本では還暦という重要な節目の数字です。また、1~6まで全ての数字で割り切れる、とても美しい数字です。読響の歴史も振り返りつつ、私が最初に読響を指揮したのが6年前ですので、この楽団の10分の1の歴史に携わっていることを改めて感じ入りました。非常に実験的なコンセプトで書きましたので、読響の60人の楽団員とどんな音楽が生まれるのか、私もドキドキしています。ぜひ、新しい作品が生まれる瞬間に、立ち会っていただけると嬉しく思います。

■曲目解説
12人の木管楽器奏者、11人の金管楽器奏者、ティンパニ、3人の打楽器奏者、そして33人の弦楽器奏者からなる、あわせて60人のオーケストラのための作品です。作品は3つのセクションに分かれています。

序奏部分は読売日本交響楽団が始まった60年前のオーケストラにおける創造力をイメージした「Genesis」。音響が入り乱れ、草創期の様々な指揮者や音楽家のスパークを音で表現します。

そして第2のセクションは「LX Anos」(=60年)と題され、読響の持つ持続力と力強さを表す部分です。「YOMIURI NIPPON SYMPHONY ORCHESTRA」の30文字を音列化した素材が60人の奏者によって異なる音価と音域で重なり合って表現されます。弦楽器はこの部分から一人一人異なるパートの演奏に分かれます。時折、様々な楽器によるソロが速いテンポで「読響音列」を奏でます。このセクションは、一年一年の歩みを表現する部分で、これまでの60年とこれからの60年、遠い未来へも脈々と受け継がれるオーケストラの伝統を表現しています。1小節がそれぞれの1年を表しており、オーケストレーションにはそれぞれの年がもつ数字の性質が用いられています。

そして第3のセクションは「YNSO」。現在の読響の輝かしさを表現する部分です。明るい三和音の重なりで、YNSOの文字が浮かび上がる作りになっています。短いソロで、再び読響の音列が奏でられ、曲は締めくくられます。

「読響」の60周年を記念する作品を書かせていただくという創造的な作業は、指揮者/クリエイティヴ・パートナーとして大変光栄なことです。この節目に作曲することで、社会の構造が劇的に変化していく中で、オーケストラという人間組織が今後どのように変容していくのか、考えることにつながりました。楽しんでいただけましたら幸いです。 (鈴木優人・読響指揮者/クリエイティヴ・パートナー)

第626回定期演奏会

2023年3月 9日〈木〉 サントリーホール

指揮=鈴木優人
ヴィオラ=アントワーヌ・タメスティ

鈴木優人:読響創立60周年記念委嘱作品(世界初演)
ヴィトマン:ヴィオラ協奏曲(日本初演)
シューベルト:交響曲第5番