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20230530.jpg明日5月31日(水)に開催する《第628回定期演奏会》では、ドイツを拠点に活躍する上岡敏之が登場し、ニールセンの交響曲第5番などを指揮します。上岡マエストロに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました(写真:上岡敏之とコンサートマスターの長原幸太)。

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今回は、メインにニールセンの交響曲第5番を取り上げます。

私はデンマークのコペンハーゲン・フィルの首席指揮者を務めており、ニールセンの交響曲は全6曲、演奏しました。ドイツでは以前、北西ドイツ・フィルと4番を演奏していましたが、コペンハーゲン・フィルのポストについてからニールセン作品を色々な側面から勉強しました。自筆譜を見て、様々な出版譜を見るなどして全6曲の演奏に臨み、理解が深まりました。今回は、ウィルヘルム・ハンセン版というデンマークの出版社によるものを使用します。ニールセンの5番は、演奏するのはとても難しいですが、読響とであれば良い演奏ができると思い、選びました。

ニールセンの5番は、難解とも言われます。聴きどころや特徴は?

分かりづらい曲と言われることもありますが、デンマークという土地柄や国民性が表れていると思います。気候は寒くて、天気もあまり良くなく、どちらかというと暗い雰囲気の国。一方、デンマークは福祉国家で貧富の差もなく「幸福な国」とされているのに、精神安定剤などを使用する人が割合として多い。そこに個々と社会との煩わしい関係性があると思います。この曲にも、平和な世の中で突然銃の乱射事件が起きてしまうような、人間の危うい一面が表れています。また、ニールセンの屈折した人間性、「誰にも分ってもらえない」というようなコンプレックスのようなものも感じます。第1次世界大戦の影響もあり、小太鼓による軍隊の部分などは戦争を予感させますが、もっと深い人間の複雑さ、世の中での息苦しさなどが描かれた作品です。最近は日本でも痛ましい事件が起こっていて、驚いています。

1曲目のシベリウスの交響詩「エン・サガ」はどんな作品ですか?

シベリウスもスウェーデン語を母語として、言語的に似ているデンマークと近い環境と言えると思います。「エン・サガ」は、古い伝説を基にしていますが、この悲しい伝説を熱く語るのではなく、感情を持たずに無意識で一点を見つめるように語っています。海に囲まれたスカンジナビアが持つ不安な雰囲気が出ています。浜辺に座って、海を見ながら、静かに伝説が語られるよう。ティンパニを使わない打楽器の使い方も特徴的ですし、最後は淡々とクラリネットが語り、物語が終わります。

2曲目には、シューマンのピアノ協奏曲を演奏します。

悩みを抱えて屈折した人生を送ったニールセンと、最後に自殺してしまったシューマンの暗さは、異なります。ニールセンやシベリウスと違う弱さや繊細さがある作品です。私がこの作品を演奏するのは、数十年ぶり。昨年亡くなってしまったラルス・フォークトさんと演奏した思い出があります。今回、ヴィルサラーゼさんとは初めて共演するので楽しみにしています。

最後にお客様にメッセージを。

今回のプログラムは、少し渋く、難しいプログラムですが、読響と各作品から色々なニュアンスを出せたらと思っています。会場でお聴きいただけると嬉しく思います。

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当日券は、18時から発売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も18時から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。

第628回定期演奏会

2023年5月31日〈水〉 サントリーホール

指揮=上岡敏之
ピアノ=エリソ・ヴィルサラーゼ

シベリウス:交響詩「エン・サガ」 作品9
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
ニールセン:交響曲第5番 作品50