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202306121.jpg6月13日(火)に開催する《第629回定期演奏会》では、指揮者/クリエイティヴ・パートナーの鈴木優人が登場。前半には、世界的チェロ奏者のケラスをソリストに迎え、アタイールのチェロ協奏曲を日本初演し、後半にはベートーヴェンの傑作「英雄」を披露します。鈴木マエストロに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました。

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今回の曲目は、ベートーヴェン「英雄」とアタイールの作品を組み合わせました。

前半にアタイールのチェロ協奏曲、後半にはベートーヴェンの「エロイカ(英雄)」という2曲のシンプルなプログラムです。これまで、読響の《定期演奏会》では、シューベルトの交響曲とベリオ、アデス、ヴィトマンらの現代作品を組み合わせてきました。昨年12月にベートーヴェン「第九」を演奏しましたし、今回は「第九」に次いで長い交響曲「エロイカ」と、ジャン=ギアン・ケラスさんの推薦するアタイール作品を組み合わせました。どちらもバロック的フーガが用いられているなど、共通点も感じられます。

アタイール作品は日本初演です。手応えは?

ケラスさんのソロが素晴らしいです。ケラスさんはこのチェロ協奏曲「アル・イシャー」を既に欧州で何度か演奏し、「今後のチェロの重要なレパートリーになる曲」と称えています。また彼は、私と読響との音作りに手応えを感じていただけているようです。この曲は、いわゆる“現代曲”ですが、決して難しくなく、美しく、心に訴えてくるものがあります。ケラスさんと読響メンバーによる繊細で刺激的な演奏に、ご期待ください。

後半はベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を演奏します。

後半の「エロイカ」は、ベートーヴェンの熱いエネルギーとバイタリティが溢れる素晴らしい作品。画期的な「三拍子」による第1楽章で始まり、規格外のスケール感と長さがあるなど、ベートーヴェンが「古典との決別」をした作品でもあります。私もリハーサルの間に「古典とは何か?」を改めて考えるなど、有意義な時間を過ごせました。第2楽章も、特別な意味の込められた葬送行進曲になると思います。読響とは「運命」や「田園」、「第九」などを演奏してきましたが、今回は更に充実したリハーサルを行えましたので、本番が楽しみです。

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当日券(余裕あり)は、18時から発売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も18時から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。

第629回定期演奏会

2023年6月13日〈火〉 サントリーホール

指揮=鈴木優人
チェロ=ジャン=ギアン・ケラス

アタイール:チェロ協奏曲「アル・イシャー」(日本初演)
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」