9月12日(火)《第631回定期演奏会》では、ブルックナー演奏で世界的な評価を得ているスイスの名匠マリオ・ヴェンツァーゴが登場。前半には生誕100年を迎えたスクロヴァチェフスキ作曲の交響曲を日本初演。後半は、得意のブルックナーから交響曲第4番「ロマンティック」を指揮します。
マエストロに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました。
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今回のプログラムは、ブルックナー作品にスクロヴァチェフスキ作品を組み合わせたものですね。
とても特別なプログラムです。読響の常任指揮者も務めていたスタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんは、ブルックナーの解釈において高名な方でしたし、二つの作品を並べることに喜びを感じています。スクロヴァチェフスキさんとは個人的な繋がりはなかったですが、彼が首席客演指揮者を務めていたザールブリュッケン放送響(現ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ ドイツ放送フィル)を、私は何度も指揮していたので、楽屋やリハーサル会場などで彼の写真をいつも見ていましたし、何よりブルックナーをはじめとする録音をよく聴き、心から音楽家として尊敬していました。
スクロヴァチェフスキの曲についての印象をお聞かせください。
スコアを見てすぐに、とても緻密な曲だと思いました。シンプルなのですが、読み進めると、彼の祖国ポーランドの紛争などの歴史や彼が愛したブルックナーの心も感じられます。何より誰かの真似ではなく独創性に溢れたものです。部分的には、ショスタコーヴィチのオーケストレーションの影響も感じられるかもしれません。この曲を気に入ったので、約2年後にザールブリュッケンのオーケストラで演奏しようと思っています。
後半には、ブルックナーの交響曲第4番を演奏します。
前回の来日でブルックナーの第3番を演奏して手応えを感じましたので、ブルックナー演奏の輝かしい伝統を持っている読響と、またブルックナーを指揮できることは大変光栄です。第3番の時と同じく、伝統的ではないブルックナーの演奏を目指しています。目指すのは、シューベルトを基にしたウィーンのスタイルで、重く“ドイツ的”なものではありません。私は若い頃、ピアノを弾き、よくシューベルトの歌曲を演奏しました。ブルックナーの交響曲にも、シューベルトの歌曲のようなメロディ、繊細さがあります。シューベルトとブルックナーの音楽は、どちらも“何かを与える”ような世界観を持つことも共通しています。
最後にお客様にメッセージを。
この演奏会は二つの面があります。前半は、スクロヴァチェフスキ作品の日本初演ですので、ぜひ好奇心を持って聴いていただきたいです。後半は、温かみのある、生きている表現を聴いていただけると思います。“ブルックナー・オーケストラ”として誇りを持っていただけるような演奏を届けたいと思っています。
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チケットは好評発売中です(読響チケットWEBでは明日12時まで)。
当日券は、18時から販売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も18時から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。
第631回定期演奏会
2023年9月12日〈火〉 サントリーホール
指揮=マリオ・ヴェンツァーゴ
スクロヴァチェフスキ:交響曲〈生誕100年記念〉(日本初演)
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」WAB104