9月16日(土)、17日(日)の《第260回土曜・日曜マチネーシリーズ》では、スイスの名匠マリオ・ヴェンツァーゴが、ベートーヴェン「運命」などをメインにしたプログラムを振ります。前半には、オネゲルの「パシフィック231」と「ラクビー」、そしてドイツの本格派ヴァイオリニストのヴェロニカ・エーベルレを独奏に迎え、バルトークのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏します。
マエストロに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました。
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今回のプログラムは、ベートーヴェン「運命」をメインに、前半にオネゲルとバルトーク作品を演奏します。
9月12日のブルックナー4番をメインにしたプログラムと、全く異なる性格のものです。こちらのプログラムのテーマは、「リズム」です。まずは、オネゲルの二作品を演奏します。オネゲルは私の母国スイスの作曲家なので、彼の音楽を届ける使命を感じます。最初の「パシフィック231」は、リズムが重要ですが、速度記号の少しずつ早くなる「アッチェレランド」がポイントです。実は、曲のテンポはどんどん遅くなっている一方、リズムが細かくなり、汽車が走るように少しずつ早く聴こえます。とても技巧的に作曲されています。続く「ラグビー」は、選手がステップを踏んで動き、それを観た観客が歌い、スタジアムにいるような雰囲気を感じていただけるでしょう。
続いてバルトークのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏します。バルトークも実は、スイスと繋がりのある作曲家です。彼はスイスに住んでいたこともあり、私は子供の頃、そのすぐ近くに住んでいました(笑)。この曲の演奏機会は少ないですが、非常に深い作品です。第1楽章はとても長い歌のように描かれていて、第2楽章はリズムが特徴的です。
後半は、ベートーヴェン「運命」を演奏しますが、どのようなアプローチになりますか?
この作品は、広く多くの人に愛されています。ベートーヴェンを演奏するのに重要なのは「メトロノーム」、テンポ感です。誤った伝統により、悲劇的な重い雰囲気を持つのは違うと感じます。第1楽章は、とても短いモティーフで書かれているのが特徴的で、いわばポップ・ミュージックのようなものです。第4楽章には、フランス革命歌を思わせる賛歌が表れます。ここに私は、オネゲルとの繋がりを感じます。オネゲルは、スイスで生まれながら、パリで「6人組」として活躍し「火刑台上のジャンヌ・ダルク」などを作曲しましたから。
最後に、お客様にメッセージを。
会場では、私たちの演奏を聴き、湧き上がるようなエネルギーを感じていただけたら嬉しく思います。思わず椅子から飛び上がっていただいても、構いませんよ(笑)。皆様とお会いできることを楽しみにしています。
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チケットは読響チケットセンター 0570-00-4390(10時~18時)及び読響チケットWEBにて、発売中です。
当日券は、各日13時から販売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も13時から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。
第260回土曜マチネーシリーズ
2023年9月16日〈土〉 東京芸術劇場
指揮=マリオ・ヴェンツァーゴ
ヴァイオリン=ヴェロニカ・エーベルレ
オネゲル:交響的運動第1番「パシフィック231」
オネゲル:交響的運動第2番「ラグビー」
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番 BB. 48a
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」
第260回日曜マチネーシリーズ
2023年9月17日〈日〉 東京芸術劇場
指揮=マリオ・ヴェンツァーゴ
ヴァイオリン=ヴェロニカ・エーベルレ
オネゲル:交響的運動第1番「パシフィック231」
オネゲル:交響的運動第2番「ラグビー」
バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番 BB. 48a
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」