11月30日(木)《第667回名曲シリーズ》では、“色彩の魔術師”シルヴァン・カンブルランが登場。前半には武満徹「シグナルズ・フロム・ヘヴン」とモーツァルト「ディヴェルティメント第5番 K.187」を組み合わせて演奏した後、ドヴォルザーク「管楽セレナード」を披露。後半には、シチェドリン「カルメン組曲」を指揮します。マエストロに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました。
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オリジナリティあふれる選曲、組み合わせです。どのようなコンセプトで選んだのでしょうか?
観客の皆さんに、管楽器と弦楽器を別々に聴いてもらったら面白いのでは、と思いました。前半は管楽器が活躍する曲を取り上げ、普段は奥にいる管楽器もステージ前方で演奏するので、ぜひご注目ください。ドヴォルザーク作品にはフルートやトランペットが入っていなかったので、入っている曲を考えた時、武満の2つのファンファーレを思いつきました。ここでは5本のトランペットを使うのですが、約45年前に演奏したことのあったモーツァルト作品に、フルート、そして武満と同じ5本のトランペットを使うものがあったのを思い出し、今回組み合わせました。後半は一転して、管楽器のない、弦楽器と打楽器のみによる曲です。誰もが知っているビゼーの「カルメン」をもとにした「カルメン組曲」で、各楽器が最大限に活躍します。
特に前半は、オーケストラのコンサートでは、あまり演奏しない曲が登場します。聴きどころをお聞かせください。
今回、モーツァルトのディヴェルティメントを武満の2つのファンファーレにサンドイッチさせ、「武満:デイ・シグナル」「モーツァルト:ディヴェルティメント」「武満:ナイト・シグナル」の順番で続けて演奏します。難しいと思われがちな現代曲と、多くの人が聴き慣れているクラシック曲を一緒に並べてみました。このような曲順にすることで、武満の直後に聴くモーツァルトはこれまでと違って聴こえ、モーツァルトの直後に聴く武満もまた、耳に新鮮な驚きを届けることでしょう。ドヴォルザークの「管楽セレナード」は、後半に演奏するカルメンの原曲をビゼーが書いたのと近い時期に作曲されました。スラブ独特の香りが漂うロマンティックな作品です。終楽章には、民俗的なトレパックの踊りをも想起させるような部分もあり、とてもエキサイティングです。
後半の「カルメン組曲」は、どんな特徴がある作品ですか?
最も特徴的なのは、管楽器を使わず、弦楽器と打楽器だけで演奏される点です。「カルメン」は誰もが知っている曲ですが、このシチェドリンのはビゼーのとはまったく違った色彩感やリズムにあふれ、新しい「カルメン」の世界に連れて行ってくれます。組曲の途中には、原曲にはない、シチェドリン自身による音楽があったり、聴き慣れたメロディがあるはずのところでオーケストラがメロディを弾かず、リズムだけを取るところもあり、観客の頭の中でメロディが流れるという、不思議な仕掛けもあります。以前、私が指揮した時には、観客がそのメロディを口ずさんでいたこともありました(笑)。
最後にお客様にメッセージを。
この演奏会のテーマは、「サプライズにあふれた『名曲シリーズ』」。管楽器、弦楽器、打楽器、それぞれがスポットライトを浴び、全ての曲を楽しんでいただけることでしょう。会場で皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。
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チケットは読響チケットセンター 0570-00-4390(10時~18時)と読響チケットWEB で好評発売中です。
当日券は、18時から販売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も18時から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。
第667回名曲シリーズ
2023年11月30日〈木〉 サントリーホール
指揮=シルヴァン・カンブルラン
武満徹:シグナルズ・フロム・ヘヴン
モーツァルト:ディヴェルティメント第5番 ハ長調 K.187 (C17.12)
ドヴォルザーク:管楽セレナード ニ短調 作品44
シチェドリン:カルメン組曲(ビゼーによる)