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1204 - コピー.jpg12月5日(火)《第633回定期演奏会》では、近現代作品を得意とする鬼才シルヴァン・カンブルランが登場。「東欧の20世紀」をテーマに、メインにルトスワフスキの「管弦楽のための協奏曲」を置き、前半にはリゲティの生誕100年記念として、世界的名手ピエール=ロラン・エマールを独奏に迎えてリゲティのピアノ協奏曲を演奏。その他、ヤナーチェクの2作品、バラード「ヴァイオリン弾きの子供」と序曲「嫉妬」を披露します。
マエストロに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました。

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20世紀の東欧プログラムです。どんなコンセプトや思いで選曲したのでしょうか?

最初は読響側から「エマールさんとのリゲティのピアノ協奏曲をプログラムに入れませんか?」と要望を受けました。リゲティは言わずと知れた20世紀の最も重要な作曲家の1人ですし、素晴らしいピアニストでこの曲のエキスパートであるエマールさんとの共演、さらに今年はリゲティの生誕100年記念ということで、喜んで引き受けました。そしてこの協奏曲を中心に他の曲を考えたとき、典型的なクラシックの曲と組み合わせることも可能でしたが、私は「東欧」というテーマで統一したいと考え、チェコのヤナーチェク、そしてポーランドのルトスワフスキを取り上げることにしました。

メインに演奏するルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」はどんな特徴がありますか?

この曲は、1954年にポーランドで作曲され、60~70年代は頻繁に演奏されていましたが、その後、あまり演奏されなくなりました。しかし、この約10年間で演奏機会も増え、再評価が進んでいる作品と言えるでしょう。タイトルである「管弦楽のための協奏曲」が示す通り、すべての楽器に重要で活躍する部分があることが特徴です。フランス印象派のような響きの部分もあり、全体を通してリズムにあふれ、オーケストラは超絶技巧を要します。

リゲティのピアノ協奏曲では、エマールさんと共演します。難曲とされていますが、どのような点に注目して聴いてほしいですか?

20世紀の最も重要な協奏曲のひとつです。ピアニストにとっても、オーケストラにとっても、そして指揮者にとっても大変難しい曲で、演奏される機会は多くありません。同じ箇所で異なるテンポが同時に進むことから、「音楽のカレイドスコープ(万華鏡)」とも言えるでしょう。オカリナやハーモニカなどを用いた独特な響きにも耳を澄ませてほしいです。

ヤナーチェクの二つの作品も、演奏頻度の少ない珍しい曲です。どのような魅力がありますか?

1曲目の「バラード《ヴァイオリン弾きの子供》」は、短いながらとても美しい作品で、コンサートマスターの日下紗矢子さんによるヴァイオリンのソロに注目いただきたいです。ヴィオラ・パートを4つに分けているのも特徴です。このヴィオラには特別な響きがあり、オーケストラの要となっています。ある村でのヴァイオリン弾きとその赤ん坊の話が元になっており、ヴァイオリン・ソロとオーケストラが暗いドラマを奏でる、特別な音楽です。3曲目に演奏する序曲「嫉妬」は、もともと歌劇「イェヌーファ」の序曲として作曲されましたが、結局序曲としては演奏されませんでした。前述のバラードとは異なり、生き生きとしたリズムと様々な感情に溢れている魅力的な作品です。

最後にお客様にメッセージを。

20世紀の東欧で作曲された、演奏機会の少ない曲が並びましたが、初めて聴く方にも各曲の魅力やエネルギーを存分に感じていただけるはずです。読響の皆さんとベストを尽くしたいと思います。会場で皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

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チケットは読響チケットセンター 0570-00-4390(10時~18時)と読響チケットWEB で好評発売中です。
当日券(余裕あり)は、18時から販売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も18時から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。

第633回定期演奏会

2023年12月 5日〈火〉 サントリーホール

指揮=シルヴァン・カンブルラン
ピアノ=ピエール=ロラン・エマール

ヤナーチェク:バラード「ヴァイオリン弾きの子供」
リゲティ:ピアノ協奏曲〈生誕100年記念〉
ヤナーチェク:序曲「嫉妬」
ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲