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2月3日(020211 - コピー.jpg土)と4日(日)の《第264回土曜・日曜マチネーシリーズ》には、3月に首席客演指揮者を退任する山田和樹が登場。同ポストとして最後の《土曜・日曜マチネーシリーズ》では、前半にグラズノフの演奏会用ワルツ第1番、ハイドンの交響曲第104番「ロンドン」、後半には上野耕平をソロに迎えて、カプースチンのサクソフォン協奏曲、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」の4曲をお届けします。リハーサルを終えたマエストロに、今回のプログラムの聴きどころなどを伺いました。

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__今回はラヴェルの「ラ・ヴァルス」をメインとしたプログラムです。

「ラ・ヴァルス」は、自分にとってとても大切なレパートリーなので、スイス・ロマンド管やフランスのオーケストラなど、節目節目で取り上げてきました。僕にとっての青春の曲で、自分の若かったころの思い出が詰まっています。東京芸大の卒業演奏がこの曲でした。そもそも、芸大に入学して最初に体験したのが、松尾葉子先生による4つ上の先輩の大井剛史さん(当時大学院生)へのレッスンで、その曲が「ラ・ヴァルス」だったのです。そこで弟子の僕がピアノを弾かなくてはいけなくて、勉強しながら「こんな曲があるのか」とショックを受けました。そこから4年間、この曲を指揮できるようになったら大学で学んだ価値があるはずだと決めて勉強し、卒業演奏でこの曲を指揮しました。しかし、その時は全然うまくいきませんでした(笑)。すごく大変な思い出ばかり残っています。

__グラズノフ、ハイドン、カプースチンと組み合わせた意図は?

「ラ・ヴァルス」が生まれたのは、第1次世界大戦の混乱の中でした。今は、ロシアとウクライナが戦争をしています。カプースチンはウクライナ出身の作曲家で、アメリカ音楽ともいえるジャズに影響を受けて作曲をしました。一方、グラズノフはロシアの作曲家です。私の中に、離れているものを結び付けたいような潜在意識が働いたのかもしれません。音楽的には、ハイドンは純古典音楽、グラズノフは古典的なワルツに独自のオーケストレーションで色あいを出しています。「ラ・ヴァルス」では、それがカオスまで行ってしまいます。本来、エレガントなワルツが、顔がぐじゃぐじゃになるように壊れていき、最後はカオスになって終わります。古典のハイドンの音楽の原点にも「踊り」があります。3拍子だけが踊りではありません。あらゆる音楽の原点は、「踊り」なのです。今回「踊り」をテーマに、垣根を超えた色々なジャンルの音楽をかき混ぜた時に、見えるものがあるかなと思っています。壮大なテーマは、“世界平和”なのかも知れません。

__ハイドンは、珍しく弦楽器は16型編成、管楽器は「倍管」(倍の人数)で演奏します。

本当の音楽にたどり着きたいという思いで、常に取り組んでいます。「古典派をロマン派っぽく演奏してはならない」という形式的なものから入りたくないのです。普遍的なものを目指したいという思いで今回は、この編成にしました。平面的ではなく、量感がある立体的な音楽、スペースのある音楽を作りたいと思っています。また、16型でしかできないピアニッシモの響きがあると思います。大人数が耳を傾け、より神経を使って響きを作り上げることが必要です。ここにも音楽の原点があると感じています。

__最後にお客様にメッセージを。

いつもながら、読響と僕でしかできないプログラムになっていますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。ハイドンからジャズまで、ロシアの響きからフランス音楽まで小技も大技も必要なプログラム。読響の引き出しを全部引き出すつもりで演奏します。ぜひ、会場にいらしてください。

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チケットは読響チケットセンター 0570-00-4390(10時~18時)と読響チケットWEB で好評発売中です。
当日券は、各日13時から販売します。学生券(2,000円/25歳以下/要学生証)の整理券も13時から配布します。皆様のご来場をお待ちしております。

第264回土曜マチネーシリーズ

2024年2月 3日〈土〉 東京芸術劇場

指揮=山田和樹
サクソフォン=上野耕平

グラズノフ:演奏会用ワルツ第1番 ニ長調 作品47
ハイドン:交響曲第104番 ニ長調 「ロンドン」
カプースチン:サクソフォン協奏曲 作品50
ラヴェル:ラ・ヴァルス

第264回日曜マチネーシリーズ

2024年2月 4日〈日〉 東京芸術劇場

指揮=山田和樹
サクソフォン=上野耕平

グラズノフ:演奏会用ワルツ第1番 ニ長調 作品47
ハイドン:交響曲第104番 ニ長調 「ロンドン」
カプースチン:サクソフォン協奏曲 作品50
ラヴェル:ラ・ヴァルス