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第506回名曲シリーズ

2008年9月22日(月) 19:00開演

会場:サントリーホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
ピアノ:ジョン・キムラ・パーカー

◆ブラームス/ピアノ協奏曲第1番
◆ブルックナー/交響曲第0番

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ (Stanislaw Skrowaczewski)

 音楽を放送したり、記録して伝えたりするようになると、演奏法や聴き方にまで大きな変化が生じるようになった。
 レコード録音の開始が、オーケストラの配置を変化させたのはよく知られる所だ。前列の弦楽器グループについて、戦前まではそれまで伝統的だった古典的な配置、つまり向かって左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンと、各声部を左右に分け演奏会場で聴衆が各旋律線の綾を明瞭に対比して聴けるように配置されていた。
 しかし、ステレオ録音の初期に、ストコフスキーがステレオの効果をより強調するために左側に高音部の固まり、右側に低音部の固まりを作るために、左に第1,第2ヴァイオリン、右側にチェロ、ヴィオラを配置。それからは旋律線の繊細なあや織りを楽しむというよりは、音楽のダイナミクスを強調して聴くようになり、演奏されるようにもなった。
 1970年代からのオーディオブームがまさにそれで、マーラーの大規模な交響曲を家の中で高級アンプやスピーカーと共に大音量で聴くことが多くなり、クラシック・ファンの音の好みも外声部を優先する趣向が見られた。つまり、声楽でいえばソプラノとバスの強調で、高音を輝かしく、低音を重厚に鳴らす音作りを多くのオーディオファンが求めた結果、刺激的な音塊の衝突が主になり、本来のコンサート音楽がもっていた多彩な響きとは異なる志向が強調される傾向があった。これがブルックナーの演奏ではさらに極端に低音が強調され音楽の姿が異様に変形しそうなほど、ぎりぎりのところで感動を体験する傾向も生まれていた。
 これがやがて、オーディオ機器の質の向上、CD化などと共に沈静化、本来の聴き方に回帰しつつあるのが、現代と言えるだろう。
 まさにスクロヴァチェフスキの演奏では外声部に対する内声部、声楽ならアルトとテノールのパートも十分に聴かせ、音楽が本来もつ均衡ある美しさを引き出してみせることにもなった。オーケストラの弦の中核を支えるヴィオラや、副旋律を奏でる第2ヴァイオリンの動き。木・金管楽器の主旋律との絡まり。その上に繊細な音の綾を克明に浮き上がらせる。
 外声部は内声部とのバランスの上に成り立つという美感を常に持つようにオーケストラを指導し、聴衆への響きの伝わり方にまで細心の注意を払っている。
 生演奏ならではのスクロヴァチェフスキの内声部表現を堪能してほしい。(Y.K.)
 

ジョン・キムラ・パーカー[ ピアノ] (Jon Kimura Parker)

 ジャズ・シンガーでありながらクラシックまで歌ってしまうボビー・マクファーレンやカナダの有名なシンガーソングライター、アラニス・モリセットと共演するジョン・キムラ・パーカー。
 クラシックをより親しみやすい切り口でと、自ら結成したアンサンブル、ピアノ・シックスを率い、カナダ・北極地方まで訪れる。ジャンルも地域の垣根も越えて活発な演奏活動を行う逸材だ。
 演奏活動ばかりではない。テレビ番組での司会も務め、幅広い音楽の啓蒙活動にも積極的だ。これまで、クラシック音楽のテレビ・シリーズ「ホールノーツ」や、カナダの有望な新人演奏家を紹介する番組「アップ・アンド・カミング」の司会を務めた。
 また、イギリスのエリザベス二世の御前演奏会を2度行い、合衆国の最高裁判所の主催する演奏会も任されるという栄誉にも預かった。
 ジョンはカナダ出身の日系ピアニストで、ドイツ音楽のベートーヴェンやブラームスを得意とする。
 今回の演奏会では、まるで交響曲のように一体となって響いてくる管弦楽の中からピアノ音楽の妙味をいかに引き出すか、というところが聴き所にもなるブラームスのピアノ協奏曲第1番だ。
 彼の持ち味の豪壮なピアニズムに耳を傾けてほしい。
 カナダ、バンクーバー生まれ。叔父エドワード・パーカーからピアノを学び、母ケイコ・パーカーからもレッスンを受けた。さらに、ロビン・ウッドによる本格的な指導が始まり、その後、バンクーバー音楽学校とUBCでリー・カム・シンに4年間、英才教育を受けた。
 1979年、ジュリアード音楽院に全額奨学生として入学、名教授として知られるアデール・マーカスに師事した。
 5年後の84年には、ルプー、ペライア、シフ、内田光子、小川典子らを輩出した英国のリーズ国際ピアノ・コンクールで第1位の栄誉に輝いている。
 ヨエル・レヴィ、プレヴィン、シックリーらと共演し、テラークからCDを発売している。(Y.K.)

読響チケットセンター

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