ホーム > コンサート > 定期演奏会

第474回定期演奏会

2008年9月10日(水) 19:00開演

会場:サントリーホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ

◆ ブラームス/交響曲第3番
◆ シマノフスキ/ヴァイオリン協奏曲第1番
◆ ショスタコーヴィッチ/交響曲第1番

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ (Stanislaw Skrowaczewski)

 音楽を放送したり、記録して伝えたりするようになると、演奏法や聴き方にまで大きな変化が生じるようになった。
 レコード録音の開始が、オーケストラの配置を変化させたのはよく知られる所だ。前列の弦楽器グループについて、戦前まではそれまで伝統的だった古典的な配置、つまり向かって左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンと、各声部を左右に分け演奏会場で聴衆が各旋律線の綾を明瞭に対比して聴けるように配置されていた。
 しかし、ステレオ録音の初期に、ストコフスキーがステレオの効果をより強調するために左側に高音部の固まり、右側に低音部の固まりを作るために、左に第1,第2ヴァイオリン、右側にチェロ、ヴィオラを配置。それからは旋律線の繊細なあや織りを楽しむというよりは、音楽のダイナミクスを強調して聴くようになり、演奏されるようにもなった。
 1970年代からのオーディオブームがまさにそれで、マーラーの大規模な交響曲を家の中で高級アンプやスピーカーと共に大音量で聴くことが多くなり、クラシック・ファンの音の好みも外声部を優先する趣向が見られた。つまり、声楽でいえばソプラノとバスの強調で、高音を輝かしく、低音を重厚に鳴らす音作りを多くのオーディオファンが求めた結果、刺激的な音塊の衝突が主になり、本来のコンサート音楽がもっていた多彩な響きとは異なる志向が強調される傾向があった。これがブルックナーの演奏ではさらに極端に低音が強調され音楽の姿が異様に変形しそうなほど、ぎりぎりのところで感動を体験する傾向も生まれていた。
 これがやがて、オーディオ機器の質の向上、CD化などと共に沈静化、本来の聴き方に回帰しつつあるのが、現代と言えるだろう。
 まさにスクロヴァチェフスキの演奏では外声部に対する内声部、声楽ならアルトとテノールのパートも十分に聴かせ、音楽が本来もつ均衡ある美しさを引き出してみせることにもなった。オーケストラの弦の中核を支えるヴィオラや、副旋律を奏でる第2ヴァイオリンの動き。木・金管楽器の主旋律との絡まり。その上に繊細な音の綾を克明に浮き上がらせる。
 外声部は内声部とのバランスの上に成り立つという美感を常に持つようにオーケストラを指導し、聴衆への響きの伝わり方にまで細心の注意を払っている。
 生演奏ならではのスクロヴァチェフスキの内声部表現を堪能してほしい。(Y.K.)

アリョーナ・バーエワ[ ヴァイオリン] (Alena Baeva)

 2007年の第3回仙台国際音楽コンクールは、聴衆が出場者に対してソリスト級の期待を抱いた注目の年だった。
 ヴァイオリン部門の優勝者バーエワが、他者を圧倒する技量と音楽作りで風格さえ感じさせたからだ。
 それもそのはずだった。それまで名だたるコンクールで入賞を重ね、出場者のなかでは、まさに超ド級のキャリアを経ていたのだ。
 01年、ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール第1位および現代曲の最優秀演奏賞など9つの特別賞を受賞。04年にはモスクワ国際パガニーニ・コンクールで優勝した。この2つの輝かしい入賞歴を携えて、仙台のコンクールに出場したのだ。
 前評判からすでに他の参加者を圧倒していたが、海外からの出場者が多いこのコンクールでは、もともとどんな無名のダークホース的対抗馬が現れてこないとも限らないというハプニング志向も高まっていた。
 プーレ、ピカイゼン、クルカといったそうそうたる審査員が並ぶ前で、世界各国からの多彩な才能が覇を競う聴衆にはまたとない展開の中で、このスターは誕生した。
 カザフスタン生まれ。5歳からヴァイオリンを始め、モスクワ音楽院付属中央音楽学校を経て、02年モスクワ音楽院に入学、グラッチ教授の元で学ぶ。03年からはミンツ、ロストロポーヴィチの目にとまりレッスンを受けた。
 10代から演奏活動を開始し、ロシア国内のほか、フランス、イタリア、スイスなど数多くの音楽祭に招かれては人気を高めていった。すでに、ショスタコーヴィチ、ブルッフ、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲をCD録音している。
 上記のモスクワ国際パガニーニ・コンクール優勝を受け、1723年製のストラディヴァリウス“Ex-Wieniawski”が貸与されている。
 またエリーザベト王妃国際コンクールでも入賞を果たしている。
 マズア、ヴァルガ、トーマス・ザンデルリンクといった指揮者、ラクリン、ミンツ、バシュメットといった弦楽器のソリストらと共演し、オーケストラも、ロシア国立響、ベルギー国立管、ロシア・ナショナル管などに招かれている。(Y.K.)

読響チケットセンター

前の月へ2017年8月次の月へ

  1
15:00
2345
6789101112
13141516171819
20
14:00
21222324
19:00
25
15:00
26
2728
18:30
293031  

クリックすると、読響ブックレット2017が新しいページでPDF表示されます